インデックス投資

持株会の売却で損をしない方法って?手順やタイミングをわかりやすく解説

従業員持株制度の引出・退会

「福利厚生の一貫だから何となく持株会をやってるけど売却の仕方が分からない」

そんなかたも多いのではないでしょうか?

 

実際、持株会の売却の仕方はとても複雑です。

まず従業員持株制度がどんなものかというと、上場企業が自社の株式を社員に奨励金をだすことで買ってもらう福利厚生の一環です。

 

従業員持株制度によって

会社側 = 長期保有の安定株主を得られる・社員のモチベーションを上げられる
社員側 = 毎月の給料から天引きで積立ができ積立金額の5%~15%の奨励金が貰える

という風に会社側・社員側お互いにメリットがあるわけですね。

 

従業員持株制度で資産運用をするメリットについては以下の記事をご参照ください。

持株会制度で稼ぐ
社員持株会制度のメリット、奨励金とドルコスト平均法を活かして小遣い稼ぎ社員持株会制度を利用して小遣い稼ぎをしませんか?会社からの奨励金・ドルコスト平均法による積立によってリスクを小さくしつつ資産運用出来る可能性がある持株会制度。メリット・デメリットをしっかり把握する事が大切です。...

 

今回の記事では

  • 持株会の売却時の手順
  • 売却時の注意点
  • 売却のタイミングはどうしたらいいか

をポイントに解説していきますね。

持株会の売却の仕方を学ぶことで損をしないようにしていきましょう!

 

持株会の売却の方法をわかりやすく解説

 

通常の個別株式取引だと単元株の100株単位の取引になるためまとまった金額(数十万~200万円)がないと投資できません。

単元株とは

株式取引をする最低限の売買単位のことです。2018年10月に100株単位に統一されました(日本国内のみ)

しかし従業員持株制度だと毎月1000円からコツコツと積み立てていけるのがメリットです。

 

ただそれを売却しようと思っても単元株100株に達していなかったら売却できません。

「いま自社株が高騰しているから売却して大きな利益を得よう!」

と思っても無理なわけですね。

1単元株の100株まで何とか積立ができるとようやく売却ができるようになります。

 

しかし単元株になった後もすぐに売却できるようになるわけではなく手続きが必要となりますので注意です。

 

初めて持株会の一部引出/売却を行う場合

  1. 持株会が提携している証券会社の口座開設
  2. 会社の事務に持株会の保有株式の一部引出申請
  3. 事務より引出の承認が降りる
  4. 証券会社に保有株式が振替される
  5. 自分自身で指値/成行で株式を売却

という手続きが必要になります。

売却までなんだかめんどくさそうですね…

 

持株会の引出申請のやり方

 

持株会の売却までにはとても時間がかかります。

事前にあなたの会社の持株会が提携している証券会社の一般/特定口座を開設しておかなければ手続きがさらに遅れてしまうため注意ですね。

持株会から非課税口座のNISA/つみたてNISA口座に移すことはできません

証券口座を開設するさいの口座種別の選択についてはこの後で説明しますね。

 

証券口座の開設がすんだらあとは会社の方で事務手続きとなります。

しかし、あなたの会社の事務や人事課などに持株会振替手続き書を記入・提出をし、証券会社のほうに保有株式が振替されるのに約2週間~1か月ちょっとかかります。

締切日が設定されていますから手続きのタイミングが悪いと振替までに時間がかかってしまいます。

持株会によって締切日が違いますからよく確認しておきたいところです。

後述する各証券会社の持株会WEBサービスを利用すれば引出申請の手続きが簡単・迅速にできるようになるためおすすめです。

 

また売却をするにも2つの選択肢があります。

  • 一部引出申請 = 積立は継続しながら保有株式の一部を振替
  • 退会申請 = 持株会を退会し保有株式を全て振替

通常は一部引出申請になりますね。

退会申請は通常は退職で持株会をやめるときのためです。

「一時的に持株会の積立を辞めたい!」

「持株会で全然儲からないから辞めたい!」

と思って退会申請により持株会を辞めてしまうと二度と持株会に入会できなくなってしまうため持株会を辞めるさいは慎重に決めなくてはいけません。

 

持株WEBサービスで持株会の売却が簡単に申請可能

 

持株会が持株WEBサービスに対応しているなら、持株会の一部引出/退会申請はパソコンやスマホでのネットからも申請が可能になっています。

 

持株WEBサービスでできることは主に

  • 一部引出申請
  • 退会申請
  • 持株残高照会
  • 引出申請の進捗情報の確認

となります。

(各証券会社によってサービスが異なる場合がありますのでご注意ください)

 

持株WEBサービスによって一部引出申請がいつでも簡単・迅速に手続きができるようになり、最短で売却しやすくなります。

また持株の積立具合・残高も確認できるようになりますし、一部引出申請した場合も手続きの進行具合も確認できます。

なので、あなたの持株会の提携証券会社がWEBサービスに対応していたら是非とも利用したほうがお得です。

 

持株WEBサービスに登録する場合は

  • 会社の持株会コード
  • 会員コード
  • パスワード

の3つが必要になります。

 

会社のほうで社員一人一人割り当てているはずなので、事務などに確認して登録しておきましょう。

 

持株会の売却時の取引手数料で得をするコツはネット口座

 

従業員持株制度で資産運用していくなら、取引手数料は少しでも安くしたいですよね。

リスクを取りながらやっと得た利益ですもんね!

 

しかし持株会によって提携している証券会社は決められているため、取引手数料の安い証券会社にしようと思っても無理なわけです。

証券会社によっては取引手数料で約4,000円~12,000円も取られてしまう場合があります。

リスクを取りながらようやく稼いだ利益の中から4,000円~12,000円も手数料として取られてしまうのは避けたいですよね。

 

取引手数料を安くするためには提携している証券会社のネット用の口座を開設しインターネットで取引をするということです。

持株会を取り扱っている主な証券会社の国内株式の取引手数料です。

(1単元株 70万~100万円の取引の場合)

インターネット取引店頭取引
野村證券1,029円約定代金の0.93%+2,679円
大和証券3,726円8,694円
SMBC日興証券864円約定代金の1.24%(最低5,400円)
みずほ証券約定代金の0.34%(最低1,026円)約定代金の1.13%(最低2,700円)

店頭取引ではなく、インターネットにより取引になるとかなり手数料が安くなりますね。

店頭取引用の総合口座とネット取引用のダイレクトコースの口座は別のため証券口座を作成する時は注意しましょう。

取引手数料を安くしたいならダイレクトコースで間違いなしですね!

 

提携している証券会社の取引手数料が高い場合は一度提携の証券会社に振替してから手数料の安いネット証券などに株式を移管するいう手段があります。

しかし株式の移管をする場合も移管手数料(1単元 = 1,000円)がかかってしまいますから、

  • そのまま売却したほうがいいのか
  • 移管手数料を支払って移管してから売却したほうがいいのか

しっかり計算する必要がありますね。

 

ネット証券の大手であるSBI証券・楽天証券だと取引手数料が487円(税抜)となります。

しかし移管手数料とあわせると1,487円(税抜)となってしまい、提携証券会社のネット取引の手数料より高くなってしまうことが多いため注意が必要です。

 

また移管手続きには2週間~1か月ほどかかります。

「移管手続きをしている間に株価が下落したら…」というリスクも考慮しなければなりませんね。

 

持株会の売却で奨励金の長期保有優遇制度がリセットされてしまう

 

保有株式の一部引出をする際の注意点としては、一部引出をしてしまうと奨励金の長期保有優遇制度がリセットされてしまうことです。

長期保有優遇制度ってなんですか??

従業員持株会制度では毎月の積立額の5%~15%の奨励金が貰えるんです。

(会社によって奨励金の割合は違います)

100万円積み立てれば持株会から5万から15万のお金が貰えるのはとても大きいです。

持株会制度を利用する最大のメリットがこの奨励金です。

 

持株会制度での積立期間が長くなるにつれてこの奨励金の割合が増していくのが『長期保有優遇制度』です。

3年以上積立を継続したら○%アップ、さらに5年以上になったら○%アップといった具合に割り増しされていきます。

または単元株が増えることに奨励金が増えていく場合もあります。

(会社によっては長期保有優遇制度がない場合がありますのでよく確認しましょう)

 

積立を長期継続するほど優遇されていくこの長期保有優遇制度ですが、引出をしてしまうと優遇奨励金がリセットされてしまうんです。

一部引出で積立を継続するとしてもリセットされてしまいます。

リセットされてしまうとまたそこから3年以上なり積立を継続されないと奨励金が割増されなくなってしまうため注意です。

持株会で長期積立し将来のための資産形成したいという目的なら、一部引出もせずに長期保有優遇制度によって最大の奨励金を貰い続けることを重視したほうが良いです。

また一部企業では持株会の引出/退会が人事考課に繋がる場合もありますので注意

 

持株会の売却時の税金を安くするための口座種別

 

持株会の売却時の税金を少しでも安くするためには口座種別をどうするかが大切です。

あなたの会社の持株会が提携している証券会社の口座を開設するさいには、口座の種別を

  • 特定口座(源泉徴収あり)
  • 特定口座(源泉徴収なし)
  • 一般口座

のどれにするか選択しなければいけません。

税金が非課税となるNISA/つみたてNISA口座は持株会には対応していません

 

税金を節税したいなら『特定口座(源泉徴収なし)』です。

よく分からないという投資初心者なら『特定口座(源泉徴収あり)』で証券会社の口座を開設しておけば税金の支払い漏れもなく間違いないでしょう。

 

特定口座は確定申告を簡単にするための『年間取引報告書』を証券会社が作成してくれ、源泉徴収ありの場合は税金の支払いも自動的にやってくれます。

 

口座種別によってメリット・デメリットがあるので、口座種別による違いをみていきましょう。

利益が20万円以下の時は納税しなくても良いと思いがちですが、利益が1円でも出ていたら自治体への住民税の申告は必要なので注意してください。

特定口座(源泉徴収あり)
利益が20万円以上確定申告の必要がない(所得税・住民税を自動で納めてくれる)
利益が20万円以下確定申告の必要がない(所得税・住民税を自動で納めてくれる)

納税関係は何もしなくても良いのが『特定口座(源泉徴収あり)』です。

とても楽ですが、利益が20万円以下の時は納税する必要がない所得税も自動的に納められてしまい損をしてしまうのがデメリットです。

その後に確定申告しても余計に納めてしまった所得税を取り戻すことはできません。

 

特定口座(源泉徴収なし)
利益が20万円以上確定申告の必要あり(年間取引報告書により簡易申告)
利益が20万円以下確定申告の必要がない(自治体への住民税の申告は必要)

利益が20万円以上のときは自分自身で確定申告をして税金を納める必要がありますが、証券会社が『年間取引報告書』を作成してくれるため面倒な確定申告も簡単になります。

利益が20万円以下の時は確定申告の必要はなく、住民税の分だけ自治体に申告の必要があります。

『特定口座(源泉徴収あり)』のように利益が20万円以下でも所得税が勝手に引かれてしまうこともないので、簡易型の確定申告の手間は必要ですが納税に無駄がないです。

 

一般口座
利益が20万円以上確定申告の必要あり(必要書類を全部自分で揃えるため難易度高)
利益が20万円以下確定申告の必要がない(自治体への住民税の申告は必要)

一般口座にするメリットはないですね。

節税したいなら『特定口座(源泉徴収なし)』で確定申告を簡単に申告できるようにしましょう。

 

特定口座(源泉徴収あり)は自分ではなにもすることは一切ないのでとても楽です。

ただ利益が20万円未満のときにも所得税(15.315%)が引かれてしまい確定申告したとしても取り戻すことはできないのはデメリットですね。

 

利益が20万円出たときの所得税額です。

200,000円(利益) x 15.315% = 30,630円(所得税)

『特定口座(源泉徴収あり)』だと最大で3万円も余計に納税することになってしまうんですね。

 

従業員持株制度の提携証券会社の口座種別を選ぶポイントとしては、

  • この所得税額が惜しいと思うなら、『特定口座(源泉徴収なし)』
  • 多少納税額が多くなろうが納税の手間をなくしたいなら『特定口座(源泉徴収あり)』

というふうになりますね。

あなたのタイプにあった方を選びましょう。

特定口座の「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の区分は変更することが可能です。
ただ、その年の初めての売却時までに変更手続きをしないと、翌年以降の変更となってしまうため注意してください。

 

損をしない持株会の売却のタイミングについて

 

持株会は単元株になってから売却しようとしても、証券会社に振替してからとなるので売却までに2週間~1か月ほどかかります。

そのため今すぐ売却する気がないからといってそのままにしておくと、いざ自社の株価が暴騰した時にすぐに売却できない!となってしまうため注意が必要です。

売却の予定があるならあらかじめ証券会社のほうに振替しておいたほうが良いですね。

 

しかし全く売却する予定がないなら証券会社に振替してしまうと損をしてしまうケースもあります。

保有株式を一部引出してしまうことで奨励金の長期保有優遇制度がリセットされてしまい損をしてしまう場合がありますので注意です。

 

また体験談からお伝えしたいのが、単位株になって売却しようと思ったら、振替手続きの期間中は相場のほうは見ないほうが精神的に良いということですね。

「暴騰していていま売れたら丸儲けなのに!」

「手続き期間中にみるみる株価が暴落していく…」

と、売却したいのに売却できないという状態に精神的に疲れきってしまいますからね。

振替手続きが終了し売却がいつでもできるようになってから売却のタイミングを見ていくようにしたほうが良いでしょう。

 

私は持株会の売却の仕方としては、

  • 単位株になったらすぐに証券会社に振替して、奨励金のぶん以上に利益がでるなら即売却
  • それ以下なら奨励金ぶん利益が出るまで待って売却

という投資ルールを作っています。

 

私の会社の持株会は奨励金が10%でるので、奨励金のぶんだけ稼げれば十分稼げるしリスクも低くなりますからね。

そのやりかたで持株会を15年ほど続けていますが大きな利益を得ることができています。

(大暴落にも退会しないで積立を継続したおかげです)

 

持株会の買付・売却時のインサイダー取引に要注意

 

従業員持株制度をやるときはインサイダー取引にならないように注意しなければいけません。

インサイダー取引とは内部情報を知るものがその情報が公表されるまえに株式の売買をし利益を得ることですね。

自社株だと未公表情報で利益を得やすいですもんね。

インサイダー取引は刑事罰となるときもあるため、知らなかったじゃすまされないので取引時には注意が必要です。

 

以下は従業員持株制度でのインサイダー取引についてです。

一定の計画に従い毎月行う定時定額の買付け(各役員・従業員の1回あたりの拠出額が100万円未満)はインサイダー取引規制の適用除外です。したがって、このような自社の株式の買付けであれば、未公表の重要事実を知っていても可能であり、インサイダー取引規制違反に問われることはありません。ただし、未公表の重要事実を知りながら行う持株会拠出額の増加や新規加入はインサイダー取引規制の対象となります。
一方で、持株会から引き出した株式の売付けは、インサイダー取引規制の適用除外とはされていません。

(出典:日本取引所グループ インサイダー取引より)

持株会で毎月定額を積立をしていく分にはインサイダー取引には当たらないということですね。

買付までインサイダーになっていたらまともに積立ができなくなっちゃいますものね。

しかし未公表情報により持株会に新規加入や積立額を増やすことはインサイダー取引となるため要注意です。

また証券会社に引出してからの株式の売却時には未公表情報をもとに取引をするとインサイダー取引にあたってしまいます。

 

売却したい時に売却できない可能性があるのは従業員持株制度のデメリットですね。

 

会社側で大きな情報がある場合は、持株の引き出しの申請許可がおりない場合もあります。

持株会によって取引ルールがある場合があるのでよく熟読しておきましょう。

インサイダー取引になるのが怖くて売却しづらくなるなぁ…

大きな企業だと下っ端の社員まで情報はおりてきませんのであまり気にしすぎず売却していった方が良いですね。

ただ引出の申請許可が下りないような場合がありますので売却の予定があるときは早めに証券会社のほうに引出しておいたほうが良いでしょう。

 

インサイダー取引が不安なときは売却の前に管理者に確認しておきましょう。

 

手数料や税金を考慮しつつ持株会の売却で資産形成

 

持株会の売却には時間と手間がかかります。

せっかく毎月積立を続けてきたものを売却時のゴタゴタで損をしてしまわないようにしっかり売却にむけて事前に準備をしていきましょう。

 

持株会を売却するうえでのポイントとしては以下の通りです。

  • 事前にあなたの持株会が提携している証券会社の口座を開設する
    (投資初心者なら特定口座(源泉徴収あり)がおすすめ)
  • ネット取引コース用の口座を開設して取引手数料を抑える
  • 持株WEBサービスに対応しているなら登録しておいた方が申請がスムーズ
    (会社コード等を確認する必要があり)
  • 振替手続き中は株価の値動きを見ないほうが精神的に良い

 

従業員持株制度は自社株のため分析がしやすい・周りの社員とも情報が共有しやすいというメリットもあって投資初心者のかたでも比較的気軽に始めやすいです。

従業員持株会制度で投資に慣れてきたらインデックス投資へとステップアップするというのも良いですよ。

 

インデックス投資も持株会と同じように少ない金額から積み立てていき資産形成をします。

インデックス投資は市場全体に分散投資するためリスクが低くなります。

持株会は自社一社に集中投資となってしまい、労働と資産形成の両方ともを自社に任せることになるのでリスクが大きくなりがちです。

 

ですので持株会を続けているうちに、

「もっと大きく資産形成をしたい」

「持株会だとリスクがやはり大きい」

と感じるようになってきたらインデックス投資へのステップアップも考えてみましょう。

インデックス投資の始め方については以下の記事で簡単に説明していますのでご参照ください。

インデックス投資で長期積立
インデックス投資の始め方は?投資初心者にも分かるように簡単に説明インデックス投資と言う言葉を良くきくけど、どういうものかも知らないし、どうやって始めて良いのか分からない。そんな投資初心者の方にも出来るだけ分かりやすく順番に説明していきます。長期運用で大きな平均利回りを得られるようにしましょう!...